ハマダラカ属は、ハマダラカ属のほかにオーストラリア大陸、ニューギニア島に分布する Bironella 属と中南米に分布する Chagasia 属を含むハマダラカ亜科(Anophelinae)に属する。この分類群がはじめに提唱されたのは1901年で、形態的な特徴(翅の斑点や頭部の形状、幼虫や蛹の形態など)のほか、染色体の違いによっても区別された。 多くのカにおいて小あごひげはオスは長く、メスは短いが、ハマダラカ属のカは雌雄ともに長い。 ハマダラカ属は、オスの生殖器を構成する第9腹節生殖肢の生殖基節の形態の違いなどによって、さらに7つの亜属に分けられる。まず1915年に、亜属のうちの3つ(ハマダラカ亜属 Anopheles、タテンハマダラカ亜属 Myzomyia(のちに Cellia に改名)、Nyssorhynchus)が、クリストファーによって記載された。1932年には、エドワーズが Stethomyia、Kerteszia(1937年に正式に亜属と認められた)の2つの亜属を記載。1937年には Lophopodomyia 亜属が記載され、さらに近年の調査によって、2005年に Baimaia 亜属が新たに記載された。 それぞれの亜属に含まれる種数は、Cellia(タテンハマダラカ亜属)が216種で最も多く、次いで Anopheles(ハマダラカ亜属)が206種、Nyssorhynchus が34種、Kerteszia が12種、Lophopodomyia 6種、Stethomyia 5種、そして Baimaia が1種とされている。 日本列島ではタテンハマダラカ亜属2種(コガタハマダラカ、タテンハマダラカ)、ハマダラカ亜属10種(モンナシハマダラカ、オオモリハマダラカ、ヤマトハマダラカ、チョウセンハマダラカ、オオハマハマダラカ、シナハマダラカ、エンガルハマダラカ、ヤツシロハマダラカ、エセシナハマダラカ、オオツルハマダラカ)の計12種の分布が記録されている。