カブトガニ(Tachypleus tridentatus)は、カブトガニ類の仲間では日本に産する唯一の種であり、またこの類の現生種のうちでもっとも大型になるものである。全長(甲羅の先端から剣状の尾の先端まで)は雄で70cm、雌では85cmに達するが、普通はもう少し小さく、それぞれ50cm、60cm程度。 体は前体(頭胸部)と後体(腹部)、それに尾節(尾剣)からなる。 前体は幅広い背甲(carapace)になっており、両側後方に尖ってやや伸びる。背面はなめらかなドーム状で、前方背面の両側と中心にそれぞれ一対の複眼と単眼がある。腹面の中心は付属肢(関節肢)が並ぶ。口の前は腹眼(ventral eye)という特殊な眼と鋏状の鋏角があり、直後は五対の歩脚状附属肢が並び、それぞれの基節は、中心の口を囲んだ「顎基」(gnathobase)という咀嚼用の突起がある。最初のものは触肢であるが、特に分化した形ではない。